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備中高梁・奥出雲の旅 [旅のおもひで]

2003年6月24日(火)25日(水)26日(木)

7年半勤めた会社を退職することに決め、溜まっていた大量の有給休暇を消化するための長期休暇、そのうちの3日間で横溝正史『八つ墓村』と松本清張『砂の器』の舞台、ロケ地を巡る旅をしました。

まず、映画「八つ墓村」(1977年松竹)に登場する多治見家のお屋敷のモデルとなった「広兼邸」に行くことに。

「JR伯備線備中高梁駅より備北バス吹屋行1時間、終点より西へ徒歩30分」と観光案内にありますが、この時はちょうどバスが出たあとで次の便まで3時間くらいあったため、それを待っていたら時間的に帰りの便が怪しくなりそうだったので、すぐに来るバスでできるだけ近くまで行き、あとはタクシーを利用することにしました。
道が悪くて極端に狭い鬱蒼とした山道をタクシーで進みようやく到着。

広兼邸広兼邸正面

この広兼邸は江戸末期に銅山経営で財を成した庄屋さんの邸宅らしいのですが、辺鄙なところにあるので辺りはひっそりとしております。
しかも平日で観光客は私一人ということもあり、のびのびとゆっくり過ごすことができました。
やはり映画のとおりの外観だったのでちょっと感動です。

なお映画で、八つ墓村に到着した辰弥(萩原健一)と美也子(小川真由美)を多治見家の春代(山本陽子)が出迎えたシーンはここで撮影されています。

この後ここから1時間弱、ベンガラの町吹屋まで歩いて行き、日本で一番古い現役校舎の小学校を見学した後、バスを待つ間、備中そばを食べ、お土産をながめていると、店のおばちゃんの息子さんが「バスしばらく来ないから駅まで乗ってき!」と、自家用車で駅まで送ってくださいました。

これもたった一人の観光客という立場と、穏やかな土地柄お人柄だったからでしょうか、お言葉に甘えました。

吹屋ふるさと村吹屋小学校

車中、話していると彼のお父さんが映画の葬儀のシーンにエキストラで出ているとお聞きしたので、旅を終えてからすぐに映画を見直して、似たお顔の人を捜してしまいました。
吹屋のおみやげ屋さんありがとう!


旅行の2日目は、トロッコ列車とスイッチ・バックのある路線でのんびり列車の旅です。

JR木次線亀嵩駅途中、直接のロケ地ではないけど『砂の器』で事件の鍵となる東北なまりの“カメダ”は、ここ島根県奥出雲地方の“カメダケ”とわかり、事件が急展開することで知られる実際の亀嵩駅(JR木次線)で下車しました。
なお、映画に登場する駅舎は八川駅、ホームは出雲八代駅だそうです。

ここ亀嵩駅は、駅長さんかその息子さん夫婦が打つのかは定かでありませんが、名物の「駅そば」がとてもおいしく、店内に写真やサインがあったので、松本清張さんや緒方拳さんも食べに来られたようです。

お蕎麦を食べた後、亀嵩駅から3・4キロ歩いた場所に、小説『砂の器』舞台の地という記念碑がある湯野神社へ。

湯野神社映画『砂の器』(1974年松竹)の中で緒方拳演じる三木巡査は、神社の境内に浮浪者の親子(千代吉と秀雄)がいるとの子供たちの通報で、この石段を駆け上がっていましたね(たぶんそうだと思うんですが……)。

この後、近くの亀嵩温泉玉峰山荘でひとっ風呂浴びてから来た道をテクテクと歩いて駅に戻り、この日はこれにて宿泊先に帰りました。


旅行3日目、『八つ墓村』といえば鍾乳洞ということで、満奇洞に行こうと思ったのですが、アクセスの都合で井倉洞に行きました。

井倉の滝井倉洞

井倉洞は全長が1200メートルあり、写真を撮ったりしながらだと一周するのに1時間くらいは掛かりますので見応えありました。
内部はひんやりしていて照明があるとはいえ薄暗く、ところどころ狭い箇所もありなかなかの冒険です。
しかもこの日は観光客も少なく、まわりに人がいないためけっこう途中で心細くなったりもして、少しは「寺田辰弥」の気分になれたと思います。

これにて景勝巡りは終了。
人生の節目にいった今回の旅、あまり人のいない山深い土地ですごした3日間、どこか懐かしい風景の中に身を置きのんびりと癒されました。きっと、いつまでも心に残る旅になったと思います。

タグ:岡山 島根

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